SCS-007が廃止:人工ダイヤモンドの「サステナビリティ評価」はまだ参考になる?(2026年版 購入ガイド)

「このダイヤモンドは SCS-007 認証(サステナビリティ評価)付きだから価値が高い」と説明されても、それはもう追加でお金を払う理由にはなりません。この認証を運営していた機関は、2026年9月1日にプログラムを正式に廃止しました。現在は審査を一切行っておらず、基準の管理も終了しています。

執筆:MIHO(IGI Professional)更新日:読了時間:約8分

結論をひとことで:ダイヤモンドの価値を決めるのは、昔も今もカット・カラー・クラリティ・カラット(4C)と、ご自身でオンライン照会できる第三者機関の鑑定書です。環境への配慮はもちろん大切ですが、それは具体的で確認できる事実に基づくべきであり、すでに廃止されたラベルに頼るべきではありません。

人工ダイヤモンドについて初めて調べている方は、まず入門ガイド「人工ダイヤモンドとは?天然ダイヤモンドとの違いと真実」をお読みいただくと、この記事がより分かりやすくなります。

2026.9.1SCS-007 廃止
2019基準づくりが始まった年
5審査分野
0廃止後の新規審査

SCS-007とは?ダイヤモンドのサステナビリティ評価認証をわかりやすく解説

SCS-007は、ダイヤモンドやその他の宝石を対象としたサステナビリティ(持続可能性)基準です。基準は非営利団体のSCS Standardsが策定し、審査は米国サンフランシスコの認証会社SCS Global Servicesが担当していました。取り組みは2019年に始まりました。

特徴は、会社全体ではなくダイヤモンド1石ごとを評価する点でした。認証を受けるには、次の5つの分野で審査に合格する必要がありました。

01

原産地のトレーサビリティ

どこで生まれ、誰の手を経てきたか。

02

気候中立

CO₂排出量をどう測定し、どう相殺したか。

03

倫理的な管理

労働環境と企業倫理。

04

持続可能な生産

製造工程が環境に与える影響。

05

サステナビリティへの投資

地域社会や環境プロジェクトへの還元。

認証を受けたダイヤモンドには、それぞれデジタル証明書が発行されました。2024年には、ルビー・サファイア・エメラルドにも対象が広げられました。

SCS-007はなぜ廃止された?人工ダイヤモンドの環境認証が失敗した4つの理由

SCSが公式に挙げた理由は2つです。ひとつは採掘業界がこの認証を採用しなかったこと、もうひとつは、ますます細分化するサプライチェーンの中で「1石単位」の原産地表示を裏づける明確な規制の道筋がないことです。詳しくはSCS Global Servicesの公式廃止告知をご覧ください。

宝飾業界の専門誌JCK(Rob Bates、2026年9月18日)の報道は、さらに詳しい事情を伝えています。要点は次の4つです。

1本当に審査が必要な側が参加しなかった

基準はもともと天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの両方を対象としていましたが、鉱山会社は参加を拒み、結局参加したのは人工ダイヤモンドの企業だけでした。人工ダイヤモンドは採掘を伴わず、生産拠点もひとつの工場なので、もともと「合格しやすい」側です。つまり、本当に環境問題を抱える採掘業界は一度も審査されず、参加した企業にとってこの認証は、厳しい関門というより販促ツールに近いものでした。

2認証機関自身が「サステナブル」と言い切らなかった

証明書の文言は当初「Certified Sustainable(サステナブルと認証)」の予定でしたが、「Certified Sustainability Rated(サステナビリティ評価済み)」に変更されました。この違いは重要です。「評価済み」とは点数をつけたというだけで、サステナブルの基準を満たしたという意味ではありません。認証機関自身が「サステナブル」と保証しなかったことは、基準のハードルと管理体制が限られていたことを示しており、購入者が環境面の保証として扱う理由はありません。

3追跡が難しく高コストで、約束を果たせなかった

SCS-007の最大の約束は、1石ずつ原産地を追跡することでした。そのため、ダイヤモンドごとに「指紋」を記録し、すべての取扱業者を追う必要がありました。JCKは、このプログラムを利用していた大手宝飾小売企業の責任ある調達担当幹部の話として、育成業者・カット業者・研磨業者にとってコストが高すぎ、手続きも複雑すぎたと伝えています。追跡ができない、あるいは費用的に続けられないのであれば、約束した「1石ずつの検証」は実現できません。

4市場が離れていった

2024年の色石への拡大はほとんど広がらず、さらにこのプログラムの最初の顧客だった米国の人工ダイヤモンド生産会社は、すでに廃業しています。

まとめると、最も審査が必要な採掘業界は参加せず、証明書の文言は最初から逃げ道を残し、核心となる追跡作業はコストが高すぎて実現できず、最終的には運営機関自身も手を引いた、ということです。報道の全文はJCK:SCS Globalがダイヤモンド・宝石の「サステナビリティ評価」証明書を終了でご確認いただけます。

いまSCS-007ラベルを見かけたら、何を意味する?

現在のSCS-007ラベルは、過去の審査記録にすぎません。しかも、その記録自体の参考価値ももともと高くありません。前のセクションで挙げた問題(参加したのは人工ダイヤモンド企業だけ、証明書の文言はあえて控えめ、1石ずつの追跡は現実的に実行困難)は、認証が運営されていた当時からすでに存在していたもので、廃止後に生じたわけではないからです。ですから、ラベルが新しくても古くても、ダイヤモンド選びの判断材料に入れるべきではありません。

公式の終了手続きは次のとおりです。

  • 認証済みの企業は、既存の有効期限まで認証を使い続けることができます。
  • 発行済みの個別ダイヤモンドの証明書は、公式の証明書照会ページで引き続き確認できます。
  • ただし、今後新たな審査は行われず、基準も更新されず、認証の更新もできません。

MIHOの見解

SCS-007ラベル付きのダイヤモンドの品質に問題があるという意味ではありません。品質は今も4Cと鑑定書で決まります。しかし、このラベルは生産者の現在の運営状況を証明できず、もともと厳格な環境保証でもありませんでした。これを加点要素として扱うことは、最初から疑問の多かった、しかもすでに廃止されたプログラムにお金を払うことと同じです。

実際にはどうすればいい?

  • 上乗せ料金を払わない。基準に疑問があり、しかも廃止されたラベルが価格を押し上げる理由にはなりません。
  • 判断材料から外す。販売店がまだこれをセールスポイントにしているなら、鑑定書の4Cで価格を説明してもらいましょう。説明できなければ、それは注意信号です。
  • ダイヤモンドそのものの品質で判断する。4Cと照会できる鑑定書が常に最優先です(次のセクションで解説します)。

人工ダイヤモンドの価値を決めるのは環境ラベルではなくIGI鑑定書

ダイヤモンドの価値は品質から生まれ、その品質は第三者の鑑定機関が鑑定書に記録します。人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドはまったく同じ基準でグレーディングされ、主にIGI(国際宝石学研究所)などの機関が鑑定を行います。IGIとGIAの違いについては「IGI vs GIA:人工ダイヤモンド・天然ダイヤの証明書の選び方」をご覧ください。

鑑定書の項目なぜ大切か(はじめての方向けの解説)
カット・研磨・対称性カットは輝きの強さを決め、見た目への影響が最も大きい項目です。
カラー(Dが最高)グレードが下がるほど、温かみのある黄色みが出やすくなります。
クラリティ(FL〜I)内部の痕跡の多さと目立ち具合を評価します。
カラット(重さ)大きさと価格を左右しますが、大きいほど美しいとは限りません。
蛍光性紫外線への反応。場合によっては見た目に影響します。
由来の記載鑑定書に「Laboratory Grown(人工)」と明記されているべきです。

「自分で照会できる鑑定書は、実際に何を買ったのかを守ってくれます。これはどんな環境ラベルにもできないことです。」— MIHO(IGI Professional)

IGI鑑定書を5分で自分で確認する方法

専門知識は不要です。次の3ステップは5分以内で終わります。

  1. 鑑定書番号をオンラインで照会する。IGI公式の鑑定書照会ページ(GIAの場合はGIA Report Check)に番号を入力し、手元の鑑定書と内容が一致するか確認します。
  2. ガードルの刻印をルーペで見る。10倍ルーペでダイヤモンドの縁(ガードル)のレーザー刻印を見せてもらいましょう。鑑定書番号と同じであるはずです。
  3. その鑑定書が購入する石のものか確認する。鑑定書は、実際に購入するダイヤモンドそのものに対応している必要があります。「似た仕様の石」のものではいけません。

鑑定書の各項目の意味をさらに詳しく知りたい方は「人工ダイヤモンドの鑑定書ガイド」をご覧ください。

人工ダイヤモンドは本当に環境にやさしい?天然ダイヤモンドとの客観比較

環境ラベルがなくても、環境負荷の小さい選択はできます。採掘された天然ダイヤモンドではなく人工ダイヤモンドを選ぶこと自体が、採掘に伴う最大の問題を避けることになるからです。

人工ダイヤモンドの強み

  • 露天掘りの鉱山が不要
  • 大量の土砂や岩石を動かす必要がない
  • 鉱山周辺の土地や地域社会を乱さない
  • 原産地の追跡がシンプル(鉱山・仲介業者・カット業者が連なる長い流通ではなく、ひとつの生産拠点)

正直にお伝えすべき点

  • 人工ダイヤモンドも「影響ゼロ」ではありません
  • 育成には大量の電力が必要です
  • 環境負荷は発電方法しだい。再生可能エネルギーで育成した石は、石炭中心の電力で育成した石よりはるかに負荷が小さくなります

人工ダイヤモンドを選ぶ人が増えている理由を、買い手と売り手の両面から知りたい方は「天然ではなく人工ダイヤモンドを選ぶ理由」をご覧ください。

「グリーンウォッシュ」の見分け方:人工ダイヤモンドの環境表示は具体的で検証可能か

人工ダイヤモンドでも天然ダイヤモンドでも、「エコ」「グリーン」「カーボンニュートラル」といった漠然とした言葉を、具体的な意味を示さずに使う販売店には注意が必要です。米国連邦取引委員会(FTC)の環境マーケティング表示ガイド(Green Guides)も、根拠を明確に示さない包括的な環境表示をしないよう事業者に求めています。

あいまいな表示(追加で質問を)具体的な表示(信頼しやすい)
「このダイヤモンドは環境にやさしいです」「このダイヤモンドは〇〇の△△工場で育成されました」
「当社はグリーンブランドです」「育成に使った電力の供給源は……です」
「カーボンニュートラルなダイヤモンド」「〇〇機関が〇〇年に検証し、現在も有効です」

信頼できる環境表示は、たいてい次の3点に答えています。どこで育成したか、どんなエネルギーを使ったか、誰が検証したか。

人工ダイヤモンドを買う前に聞くべき6つの質問

1第三者の鑑定書はある?

この石そのものに第三者機関の鑑定書があり、番号をオンライン照会できますか?

2刻印は鑑定書と一致する?

ガードルのレーザー刻印は鑑定書番号と同じですか?

3人工であることが明記されている?

鑑定書に人工(Laboratory Grown)と明記されていますか?

4環境表示に根拠はある?

環境面をうたうなら、どこで育成し、どんなエネルギーを使い、現在有効な制度で検証されていますか?

5SCS-007の有効期限は?

SCS-007を持ち出されたら、その認証がいつ失効するか確認しましょう。

6返品・交換の条件は?

支払い前に返品・交換の規定を確認しましょう。

信頼できる販売店であれば、この6つすべてに迷わず答えられるはずです。

SCS-007ラベル vs IGI鑑定書:人工ダイヤモンドの購入者を守るのはどちら?

比較項目SCS-007 サステナビリティ評価IGI鑑定書
現在の状況2026年9月1日に廃止継続中
新規審査・新規発行なし毎日発行
4Cの品質を記録しないする
オンライン照会旧証明書のみ閲覧可番号で即時照会
ガードル刻印との対応なしあり
価格に反映すべきかすべきでない価格の主な根拠

MadisonDiaの考え方

MadisonDiaの1カラット以上の人工ダイヤモンドは、すべてDカラー・VVSクラリティ・3EXカットで、IGI鑑定書とガードルのレーザー刻印付きです。お支払い前にIGI公式サイトでご自身で照会していただけます。価格は4Cと鑑定書にもとづいて設定しているため、何にお金を払うのかが明確です。実物を比べたい方は、香港・尖沙咀の店舗へお越しください。スタッフが鑑定書を一項目ずつご一緒に確認します。

2026年 人工ダイヤモンドの価格(Dカラー/VVS2/IGI鑑定書付き)

1カラット¥39,200〜
1.5カラット¥65,500〜
2カラット¥96,700〜

※ MadisonDiaのラウンド・ルース価格(枠は含みません)。すべてDカラー、VVS2、Ideal/EX/EXカット、IGI鑑定書付きです。価格はオンラインストアの表示が優先されます。

ラベルではなく、鑑定書でダイヤモンドを選ぶ

MadisonDiaの人工ダイヤモンドには、オンライン照会できるIGI鑑定書が付いています。

IGI鑑定書付きルースを見る店舗で比べる

SCS-007と人工ダイヤモンドに関するよくある質問

SCS-007はまだ有効ですか?

いいえ。SCS-007は2026年9月1日に廃止されました。SCS Global Servicesはこの基準による審査を行っておらず、SCS Standardsも基準の管理を終了しています。

SCS-007認証付きのダイヤモンドを持っています。価値は下がりますか?

廃止によって下がることはありません。ダイヤモンドの価値はもともとその品質から生まれており、品質は変わっていません。サステナビリティ証明書は引き続きオンラインで閲覧できますが、更新はされず、参考価値も限られており、そもそもダイヤモンドの価値の源ではありませんでした。

SCS-007に代わる制度はありますか?

2026年10月時点で、ダイヤモンドを1石ずつ評価する代替制度は発表されていません。SCSは、その枠組みを活用したい既存の業界制度との連携に前向きだとしています。

まだSCS-007を宣伝している販売店は避けるべき?

必ずしも避ける必要はありませんが、注意は必要です。基準に疑問があり、しかも廃止されたラベルを理由に高い価格を提示された場合は、鑑定書の4Cで価格を説明してもらいましょう。

人工ダイヤモンドは今でも環境負荷の小さい選択ですか?

ほとんどの面ではそうです。人工ダイヤモンドは採掘を一切必要としません。残る影響は主に育成に使う電力なので、販売店にエネルギー源を確認するとよいでしょう。

環境ラベルと鑑定書の違いは?

環境ラベルは生産工程を評価するもので、鑑定書はカット・カラー・クラリティ・カラットなどダイヤモンドそのものの品質を記録するものです。ダイヤモンドの価値と価格を決めるのは鑑定書です。

IGI鑑定書が本物かどうか確認するには?

IGI公式サイトで鑑定書番号を入力して内容を照会し、10倍ルーペでガードルのレーザー刻印が鑑定書番号と一致するか確認します。所要時間は約5分です。

MadisonDiaの人工ダイヤモンドにはどんな鑑定書が付きますか?

MadisonDiaの1カラット以上の人工ダイヤモンドは、すべてDカラー・VVSクラリティ・3EXカットで、IGI鑑定書とガードルのレーザー刻印付きです。IGI公式サイトでご自身で照会できます。

あわせて読みたい:人工ダイヤモンドの鑑定書と選び方ガイド

出典

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